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CMSとは何か

第18講 / 全32講読了目安 約40分
  • CMSが管理するコンテンツ・メディア・公開状態・利用者の役割
  • CMSを導入する目的と、導入しても自動化されない作業
  • ページ管理と構造化コンテンツ管理の違い
  • 編集、確認、承認、公開、修正、削除の運用
  • CMS導入が制作・移行・保守・セキュリティへ与える影響

CMS(Content Management System)は、専門的な実装作業を毎回行わなくても、管理画面からコンテンツを作成・管理・公開するための仕組みです。

flowchart LR
    E[編集者] --> M[CMS管理画面]
    M --> C[文章・画像・分類・公開状態]
    C --> P[公開処理]
    P --> W[Webサイト]

CMSは「Webサイトを簡単に作る道具」と説明されることがありますが、実務では次の二つを分ける必要があります。

  • コンテンツを管理・公開する仕組み
  • Webサイトのデザイン・表示・検索・フォーム等を実装する仕組み

CMS製品によって、この二つが一体になっている場合と、分離している場合があります。

  • ニュース
  • 記事
  • 製品
  • 施設
  • イベント
  • FAQ
  • 採用情報
  • 固定ページ
  • 画像
  • PDF
  • 動画
  • 代替テキスト
  • キャプション
  • 著作権・利用期限
  • カテゴリ
  • タグ
  • 著者
  • 関連記事
  • 製品と資料
  • 施設とイベント
  • 多言語の対応関係
  • 下書き
  • 確認待ち
  • 公開予約
  • 公開
  • 非公開
  • アーカイブ
  • 管理者
  • 編集者
  • 投稿者
  • 承認者
  • 閲覧のみ
  • 部門・サイト別担当

CMSは文章入力欄だけでなく、コンテンツ運用全体を扱います。

更新を制作会社へ依頼せず行う

Section titled “更新を制作会社へ依頼せず行う”

日常的なニュース・製品・イベント更新を、クライアント自身で行えます。

必須項目、日付、画像、カテゴリ等を入力欄として定義し、ページごとの差を抑えられます。

部門・役割ごとに操作を制限し、公開前の確認工程を設けられます。

誰がいつ更新したか、以前の内容へ戻せるかを管理できます。

同じコンテンツを一覧、詳細、トップ、関連枠、アプリ等へ利用できます。

CMSを入れても自動的に解決しないこと

Section titled “CMSを入れても自動的に解決しないこと”
  • 良い原稿が作られる
  • 情報設計が統一される
  • 画像の権利が確認される
  • 公開期限が守られる
  • 古いページが削除される
  • SEOが改善する
  • アクセシビリティが保証される
  • すべての更新が即時反映される
  • セキュリティ対応が不要になる
  • 運用担当が引き継がれる

CMSは運用を支える道具です。

入力ルール、承認、棚卸し、教育、保守を合わせて設計します。

ページ型管理と構造化コンテンツ

Section titled “ページ型管理と構造化コンテンツ”

編集画面上で見出し、文章、画像、レイアウト等を組み合わせ、一ページを作ります。

  • 自由度が高い
  • 編集者が完成形を想像しやすい
  • ページごとの差が出やすい
  • デザイン崩れ・再利用の難しさがある

「タイトル」「公開日」「カテゴリ」「本文」「関連施設」等の項目として管理します。

flowchart TD
    A[記事コンテンツ]
    A --> T[タイトル]
    A --> D[公開日]
    A --> C[カテゴリ]
    A --> B[本文]
    A --> I[画像]
    A --> R[関連記事]
  • 入力形式を統一しやすい
  • 一覧・検索・多チャネル利用に向く
  • 設計時に必要項目を決める必要
  • レイアウトの自由度をどう与えるか検討が必要

実際のCMSでは両方を組み合わせることがあります。

コンテンツタイプは、同じ項目構成を持つ情報の種類です。

例:

  • タイトル
  • 公開日
  • カテゴリ
  • 本文
  • 添付PDF
  • 重要表示
  • 施設名
  • 住所
  • 緯度経度
  • 営業時間
  • 設備
  • 画像
  • 予約URL
  • イベント名
  • 開始・終了日時
  • 会場
  • 対象施設
  • 定員
  • 申込方法

コンテンツタイプが曖昧だと、一つの自由入力欄へ多くの情報を埋め込み、検索・再利用・多言語化が難しくなります。

本文入力には、いくつかの考え方があります。

ワープロのように、見出し、文章、リンク、画像等を一つの本文欄で編集します。

  • 編集者が使いやすい
  • 長文記事と相性がよい
  • 独自レイアウト・構造化に限界がある

テキスト、画像、カード、FAQ、表等の部品を並べます。

  • ページ表現の幅が広い
  • 部品単位でデザインを統一できる
  • 部品数が増えると選択が難しい
  • 順序・組み合わせによって表示崩れが起こる
  • 新デザイン追加時にCMSとフロントの両方を変更する

自由度を上げるほど、編集者教育とテストが必要になります。

CMSでは、入力したデータをテンプレートへ当てはめて表示します。

flowchart LR
    C[CMSコンテンツ] --> T[テンプレート・コンポーネント]
    T --> P1[一覧]
    T --> P2[詳細]
    T --> P3[トップ掲載]

一つのテンプレート修正で多数ページを変更できることが利点です。

一方、共通変更の影響範囲が大きいため、公開前の回帰確認が必要です。

組織によって、作成者と公開者を分けます。

flowchart LR
    D[下書き] --> R[レビュー依頼]
    R --> A{承認}
    A -->|修正| D
    A -->|承認| S[公開予約・公開]
    S --> U[修正・非公開・アーカイブ]

確認すること:

  • 誰が作成できるか
  • 誰が公開できるか
  • 誰が差し戻すか
  • 緊急公開はどうするか
  • 予約時刻のタイムゾーン
  • 公開終了
  • 承認記録
  • 代理対応
  • 通知

CMS製品の機能だけでなく、実際の社内承認ルールへ合うかを確認します。

プレビューは、公開前の内容をWebサイトに近い形で確認する仕組みです。

確認対象は本文だけではありません。

  • 一覧・詳細
  • 関連記事
  • ナビゲーション
  • スマートフォン
  • 多言語
  • 日時・予約状態
  • OGP
  • 検索結果
  • 読み上げ
  • リンク
  • 外部データとの組み合わせ

従来型CMSでは管理画面と表示が一体で、比較的プレビューを作りやすい場合があります。

ヘッドレスCMSでは表示側が別システムのため、下書き取得、認証、プレビューURL、キャッシュ回避等を設計します。

CMSに検索機能があっても、公開サイトの検索にそのまま使えるとは限りません。

  • 管理画面内検索
  • CMS APIの絞り込み
  • サイト内全文検索
  • 外部検索エンジン
  • ブラウザ内検索

は別の機能です。

大量コンテンツ、表記ゆれ、日本語分割、ランキング、検索ログ等が必要なら、AlgoliaやElasticsearch等の別サービスを使うことがあります。

CMS更新時に検索インデックスも更新する必要があります。

WordPress等ではプラグインでフォームを追加することがあります。

ヘッドレスCMSは、通常コンテンツ管理が中心で、問い合わせ処理は外部フォーム、サーバーレス関数、CRM等を別途組み合わせます。

CMS選定時には、現在使っているフォーム、検索、会員、予約、メール等がCMS本体の機能なのか、別機能なのかを分解します。

  • コンテンツタイプ設計
  • 入力項目設計
  • 必須・文字数・初期値
  • 管理画面設定
  • 権限
  • 公開フロー
  • プレビュー
  • API・テンプレート実装
  • データ移行
  • 操作マニュアル
  • 編集者研修
  • テスト
  • 公開後の問い合わせ

CMS導入費は、管理画面の初期設定だけではありません。

既存サイトからCMSへ移す場合、次を整理します。

  • 移行対象ページ
  • 新コンテンツタイプへの割り当て
  • URL
  • 公開日・更新日
  • カテゴリ
  • 画像・PDF
  • 本文内リンク
  • 代替テキスト
  • 著者
  • 公開状態
  • 多言語対応
  • 不要ページ
  • 移行後のリダイレクト

古いHTMLをそのまま本文欄へ入れると、見た目は移せても構造化・再利用・アクセシビリティ改善が難しくなります。

移行方針を先に決めます。

WordPress等を自社サーバーで動かす場合、次が必要です。

  • CMS本体更新
  • プラグイン・テーマ更新
  • PHP・データベース等の更新
  • バックアップ
  • 脆弱性対応
  • 不正ログイン対策
  • 障害復旧
  • ステージング検証

基盤・CMS本体の更新を事業者へ任せやすい一方、次は残ります。

  • アカウント・権限
  • APIキー
  • コンテンツ
  • フロントエンド
  • 連携
  • 料金・プラン
  • サービス障害
  • データ出力
  • ベンダー変更

どちらも「保守不要」ではありません。保守対象が異なります。

ニュースの件数・項目・カテゴリ・予約公開・PDF添付・トップ掲載を整理します。

固定ページまでCMS化する必要があるか、費用・運用で判断します。

店舗ごとの編集者、共通情報、地域別情報、公開承認、緯度経度、営業時間、臨時休業等を構造化します。

店舗が自由な本文だけを入力すると、検索・一覧・一括変更が難しくなります。

適時開示、決算資料、カテゴリ、年度、公開日時、ファイル差替え、訂正表示、承認記録等が重要です。

CMSの使いやすさだけでなく、公開事故を防ぐ運用を設計します。

  • CMS導入の目的と更新対象を明確にしている
  • CMS化するページとしないページを分けている
  • コンテンツタイプと項目を設計している
  • 構造化する情報と自由入力する情報を分けている
  • 一覧・詳細・検索・関連表示への利用を確認している
  • 編集・承認・公開・緊急対応の役割を決めている
  • 予約公開・公開終了・タイムゾーンを確認している
  • 本番に近いプレビュー方法を設計している
  • 画像・PDF・代替テキストの運用を決めている
  • 移行データの変換・確認・差分更新を計画している
  • 操作マニュアルと研修を見積に含めている
  • CMS本体・フロント・連携の保守範囲を分けている
  • 契約終了時にコンテンツ・画像を出力できる

「CMSを入れればどのページも自由に更新できる」

Section titled “「CMSを入れればどのページも自由に更新できる」”

自由度は入力項目・テンプレート・権限の設計で決まります。自由にしすぎると品質と保守性が下がります。

「CMS化は管理画面を作るだけ」

Section titled “「CMS化は管理画面を作るだけ」”

表示テンプレート、API、プレビュー、移行、権限、公開フロー、教育、保守が必要です。

「編集者の要望通り入力欄を増やせばよい」

Section titled “「編集者の要望通り入力欄を増やせばよい」”

項目が多すぎると入力負荷が上がり、似たデータが重複します。利用目的と再利用から設計します。

「古いページをHTMLごと貼れば移行完了」

Section titled “「古いページをHTMLごと貼れば移行完了」”

構造、リンク、画像、アクセシビリティ、検索、今後の改修が悪化する場合があります。

フロントエンド、API連携、アカウント、権限、サービス変更、問い合わせ対応は残ります。

Q1. CMSの役割を一言で説明してください。

Section titled “Q1. CMSの役割を一言で説明してください。”
回答と解説 専門的な実装を毎回行わずに、管理画面からコンテンツ、メディア、公開状態、権限等を管理・公開する仕組みです。

Q2. ページ型管理と構造化コンテンツの違いは何ですか。

Section titled “Q2. ページ型管理と構造化コンテンツの違いは何ですか。”
回答と解説 ページ型は完成ページに近い単位で自由に編集し、構造化コンテンツはタイトル・日付・カテゴリ等の項目として管理し、複数表示へ再利用します。

Q3. CMSのプレビューで本文だけでなく確認するものは何ですか。

Section titled “Q3. CMSのプレビューで本文だけでなく確認するものは何ですか。”
回答と解説 一覧、関連表示、モバイル、多言語、予約日時、リンク、OGP、検索、他データとの組み合わせ等です。

Q4. 多店舗サイトで、営業時間を本文欄へ自由入力することの問題は何ですか。

Section titled “Q4. 多店舗サイトで、営業時間を本文欄へ自由入力することの問題は何ですか。”
回答と解説 一覧・検索・一括変更・曜日別表示・臨時休業連携等に使いにくく、表記もばらつくため、構造化項目を検討します。

Q5. SaaS型CMSと自社運用CMSで、保守範囲はどう変わりますか。

Section titled “Q5. SaaS型CMSと自社運用CMSで、保守範囲はどう変わりますか。”
回答と解説 SaaS型は基盤・CMS本体更新を事業者へ任せやすい一方、権限、コンテンツ、フロント、連携、料金等は利用者側に残ります。自社運用型ではOS・CMS・プラグイン等の更新も増えます。